一枚の看板が語るもの

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一枚の看板が語るもの

それでは、弊社の取っておきの自慢の一品を紹介します。こちらは、旧㈱杉浦商会時代のメーカー特約店看板です。OSGというのは「オーエスジー株式会社」のブランド名で、かつては「株式会社大澤螺子研削所」というメーカーでした。

OSG特約店看板

OSG八名工場

OSGは日本の誇るトップブランドで、金属にネジを加工する工具では世界№1のシェアを持つ、豊川市のメーカーです。フジテレビ系の人気番組「ほこ×たて」にも紹介され、「絶対に穴の開かない金属×どんな金属にも穴をあけられるドリル」で高視聴率を稼ぎ、一躍有名になりました。私どものお客様には自動車部品などに代表される、金属加工の業種が多く、この業界ではほぼ100%OSGの製品が使われているほどです。この看板は長い間弊社店頭に大切に飾られていた物でしたが、99年の社屋建て直しに伴い、オーエスジー株式会社様に寄贈する事を申し出ました。この申し出に大澤会長には大変喜んで頂き、代わりに送って頂いた絵画は新しい社屋に大切に飾ってあります。現在看板は新城市にある、八名工場の玄関エントランスロビーの大変目立つ場所に飾られています。上掲のモダンアートは創業者大澤秀雄氏の肖像になります。先日、久しぶりにこの看板に会うために八名工場に訪問させて頂きました。工場のスタッフの方の特別な計らいにより、わざわざ看板を一時的に外していただき間近に見る事が出来ました。

弊社旧社屋店頭(1998年)

八名工場エントランス

実は私自身は、この看板がこのように飾られている事を長い間知りませんでした。その事を知ったのは、入社後、色々な同業者の方と名刺交換をする度に私がエスエヌジーの者だとわかると、必ずと言っていいほどこの話をして頂いたからです。皆様から異口同音に「あんな看板を持っていて、本当に羨ましい」と仰られるのです。 会社の歴史や伝統というものについてまだ認識が浅かった、入社当時の自分にはあまりピンときませんでしたが、今ではその事が代えがたい大切な遺産であるとわかります。看板の裏には昭和30年代の作であるとわかる帳票が貼ってありました。昔、酒屋などでよく見かけた、漆塗りに金箔の浮き彫りという、今ではすっかり見かけなくなった、古きニッポンの伝統技法の看板です。弊社の創業は昭和21年。当時は配給制が未だ残る時代でした。今のように電話一本で次の日に商品が届くといった時代ではありません。道のほとんどが舗装されてなく、電柱も木製。電燈は裸電球。冷蔵庫もなければ洗濯機もテレビもありません。創業者の杉浦秀雄はお客様から注文を頂き、名古屋の問屋街に商品を買い付けに走った。そのように伝え聞いています。機械も工具も、とにかく商品というものが圧倒的に足らなかった時代の話です。もちろん古ければ良いというものでもありません。私たちは昔の創業時に想いを馳せ、他に代え難い歴史から経験を学び、そして、昨日より今日、今日より明日 と成長を繰り返し、次の世代も社会の皆様から支持を頂き続けられるよう、常に新しい頁を書き加えて行きたいと思います。

感動の対面。 創業時の想いを馳せる。